松井智惠 MATSUI Chie

《draw 00-6》1996年 紙に鉛筆 マニキュア 38.4×28.8cm
draw 00-6, 1996, Pencil on paper, Nail polish  38.4×28.8cm

 

松井智惠
MATSUI Chie

1960年、大阪市生まれ。大阪市に在住、活動。

 

「物語が飽和した現代・遍在する世界観」

個人は種としての人間の宿命を背負い、この生を全うしたいと渇望する。自立した個人としての理想からは、ほど遠い場所へ押しやられた人間の原風景と喜怒哀楽は、パンドラの箱から溢れ彷徨う。文明は整合と混濁を繰り返し、時空と立体的に繋がりを作っている。その中で渦まく数えきれない問いは、現在どのような現れ方をしているのだろうか。

インスタレーションとドローイングの作品を創り続けた過程で、人間は空間とどのような関係を持つ事によって、世界像を作り上げているのかという問いに向き合った。その過程で、文字化される以前に口伝によって伝播された寓意が、現代の世界像にどのように現れているかについての探求が、私を映像作品の制作へ向かわせた。

現代は、映像と画像による情報によって人は多くの事柄を認識する。画像認識は、人の発達初期の認識方法である。SNSで私は「絵」の画像をネット上に掲載してみた。画材も書き方も統一されたものにしない、失敗したものも公開するというルールを決めた。「絵」の画像に様々なコメントが寄せられ、展覧会場では交わる事のない人々が、遠慮なく「絵」から気ままな発想を文字にして書き込み、やりとりをしている。いつの間にか、それは私の日常生活の中で「今日の一枚さん」として定着した。「今日の一枚さん」という名の紙片は、時々展覧会にも現物の姿を現す。2011年から現在も続いているこの試みは、インスタレーション、映像、と身体感覚の変容の延長線上にある。文化・文明と呼ばれる「文」の岐路に立ち、未だ届かぬ芸術の麓に広がるネットでは私は遍在する。眠る前に、死者も遺棄されたまま物語るネットに一枚の贈り物を送る。生者の証と懺悔の一枚を。

松井智惠 2020年4月24日改編

 


 

Born in Osaka, Japan, 1960.  Lives and works in Osaka.

 

更新された最新の情報は、作家のウェブサイト等をご覧ください。
Please refer to the artist’s website for new updates.

https://www.chie-matsui.com/home/

https://vimeo.com/bojiboji54

 

 

《LABOUR37》 1996年 SITE Santa Fe、ニューメキシコ州、アメリカ合衆国 ミクストメディア インスタレーション  アドビレンガ、鏡、テキスト、電球、フェィクファー、写真、壁にアクリル塗料  460×690×1390cm 撮影:石原友明
LABOUR37, 1996, SITE Santa Fe, New Mexico, USA, Mixed media Installation, Adobe brick, Mirror, Bulb, Lettering, Fake fur, Photo, Acrylic on the wall, 460×690×1390cm Photo by ISHIHARA Tomoaki

 

 

《HEIDI 53》2014年 龍野うすくち醤油倉庫、兵庫県 ヴィデオ・インスタレーション HD ヴィデオ(14分52秒)、電球 撮影:田邊真里
HEIDI 53, 2014, Usukuchi Tatsuno Soy Source Museum Annex, Tatsuno, Hyogo, Japan, Video Installation, HD Video (14min.52sec.), lump Photo by TANABE Mari

 

 

《Ms.piece, 2015.0323》 2015年   紙にインク、他
初出は画像をFacebookにて限定公開、のち単品で展覧会へ出品あり
Ms.piece, 2015.0323, 2015, Ink on paper, etc.
The image of this artwork was first view
ed only by friends on Facebook. The artwork itself was later on exhibit.