井桁裕子 IGETA Hiroko

 

《加速する私たち 舞踏家・高橋理通子の肖像》2012年 桐塑、石塑、油彩 130×70×180cm  撮影:齊藤哲也
Accelerating us – portrait of Ritsuko Takahashi / buto dancer, 2012, Paulownia sawdust paste, Stone cray, Oil paint, 130×70×180cm  Photo by SAITO Tetsuya

 

井桁裕子
IGETA Hiroko

1967年、東京生まれ 東京に在住、活動。

 

 美術大学ではグラフィックデザインが専門でしたが、在学中に人形の教室に通い、球体関節人形の作り方を学びました。もともと人体に関心があり、人体のひな型として人形が欲しかったのです。その後、自分が出会った表現者たちにモデルになってもらい制作を続けてきました。そして近年は、もう少し抽象的な造形を求めて、焼き物で小さな作品を作っています。
肖像作品の始まりは、1996年に作ったセルフポートレートでした。
 私は10代から20代の若い時期に、自分の身体が自分で正しく認識できず困難な状況に陥っていました。この身体を、外側にもう一つ作ってみれば自分を取り戻せるような気がして、自分を計測して全長120センチほどに縮小した人形の設計図を描きました。
この人形を作っていく作業の中で、人体解剖図に描かれた骨格や筋肉、腱などが自分にもほぼ同じようにあることに驚きました。地図で知っていた町に初めて行ってみたような感じです。私は、自分が何か得体の知れぬ存在ではなく、皮膚の下にこのように精密な機構が、自然の美しい生き物たちと同じようにあることを実感したのです。
 しかし、出来上がったものを発表した時に、私は新しい問題に気付きました。それは若い女性のヌード作品は、単純に性的なメッセージとして受け取られるということです。
 そこでこの人形に服を着せようとすると、今度はどんな服を着せるべきかがわからないことに気付きました。自分を象った人形に何を着せていいかわからないというのは、すなわち自分が社会にどう存在してよいのかわからない、ということだったのでした。
 私がいまだに自分の作品を人形と呼ぶのは、人形が人権を配慮されない治外法権の存在だからです。命のないものに感情移入することと、人間がモノとして扱われることは、どちらも「人と人形」の関係性と同じではないだろうか。
そのようなことを時々考えています。

 


 

Born in Tokyo, Japan, 1967.  Lives and works in Tokyo.

 

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《片脚で立つ森田かずよの肖像》2015年 桐塑、石塑、羊毛、油彩 100×100×75cm
Portrait of Kazuyo Morita standing on one leg, 2015, Paulownia sawdust paste, Stone cray, Wool, Oil paint, 100×100×75cm

 

 

《ウラノス・ロータス・ウラニウム 篠原勝之の肖像》(未完成)2019年 桐塑、石塑 80×90×60cm        撮影:萩原美寛
Uranos Lotus Uranium – portrait of Katuyuki SHINOHARA (Work in progress)   2019   Paulownia sawdust paste, Stone cray, 80×90×60cm Photo by HAGIWARA Mikan

 

 

《清らかな雨を降らせるために》2020年 陶土 19×37×20cm
Let the pure rain fall   2019  Ceramics  19×37×20cm